◆ガーデンセラピー

今年になって母のガーデン作業を手伝うようになりました。
母は難病サルコイドーシスと診断され、御茶ノ水の順天堂医院へ通院しています。病気と折り合いよく過ごすためには無理をせず、心穏やかに過ごすのが一番。しかしながら、お庭が気になってしまう母は「お花たちに命をいただいているんだから！」を理由についつい無理をしてしまう。作業中は心軽やかに充実感満点の時間のようですが、その後に体に対して無理があった分、体調に影響が出てしまう。そこで、この母の体を休めるためには誰かが母の代役を勤めなければ、、、と思い、、、私が手を上げました。
ガーデニングの基本は「草むしり」。。。2千平米のお庭の草むしりはガーデニングなどと優雅な言葉は似合いません。か弱く繊細な植物に対して、草は自分達の子孫をものすごい勢いで増やすことによって陣地を獲得する植物です。日本の夏、草達はものすごい勢いで陣地を獲得しようと、その成長の早さに驚かされます。きれいに草むしりを行ったはずでも2日後にはちゃっかりと別の草が生えている。草との根気勝負です。
草も動物と同じように人間が植えた植物と似ている草がその場所に存在することがあります。まさしくカモフラージュされている。何度も何度も草むしりをしているところから大きく成長した草を見つけた時にはとても嬉しくなってしまいます。「あなたは隠れるのがお上手ね！」とついつい声をかけてしまいます。毎日、毎日草達とかくれんぼしているようで楽しいのですが、何だか根こそぎむしってしまうのが申し訳なくなってきたりもします。草達にとって私は完璧「鬼」ですね。
草むしりの秘訣は根こそぎ土から抜き取ること。やや大きくなった草を抜き取る時にはちょっと力が必要で、根っこが土から離される時のモソモソ、プチプチと静かな音は以外や快感です。心の中で獲物を獲得した気分です。
そうこうしているうちに私は草むしりに夢中。草むしりがこんなに楽しいものとは思ってもいませんでした。時間があるとお庭の草を見つけてしまう。他の用事でお庭に出てもついつい目に入った草をピッキング！外出時駐車場まで歩く途中にも草を見つけてしまうとバック片手に草をピッキング。少々の雨降りでも草達は私を戸外に誘います。少しでも時間が出来ると私はお庭で草を見つけている。

人は何かに夢中になれることがいかに心安定に寄与していることでしょう。
草むしりは難しい作業ではありません。単純明快な作業内容です。難しいと言えるのは根気がどこまで続くかでして草との勝負は決まりです。これは終わりの無い勝負になる可能性が強い。草は我家の敷地以外からも種を飛ばしてやってきますから。
物ではなく、生きている植物との関係は自分も生きていることを感じることが出来ますし、特に草むしりは無の境地で行うことが出来る作業です。草と植物を見分けることは必要ですが草の種類は多くても7種類くらい。すぐに覚えられます。自然の中で体を動かしつつ、無の境地になれる訳です。草むしり後のすっきりとした気分は心地よいものです。カッコよく、ガーデンセラピーと題しましたが草むしりセラピーの方が的を得ているかもしれません。
草むしりセラピーをお試しになりたい方は我家のお庭へどうぞ！

追伸：一面草のお庭では草むしりは労働になってしまいますのでセラピーの役目を果たしません。
鬼ごっこ気分になれる程度の草が一番効果的だと思います。我家の庭で草を見つけることはまさしく鬼ごっこ気分で楽しく出来ます。

2008.08.24